大浜公園は大阪府堺市にあり、明治12年(1879年)に開園された日本でも相当古い公園です。旧堺港に隣接しており、旧堺灯台もすぐそばにあります。
大浜公園ってどんなところ
大阪湾をのぞむ堺市の海岸沿いにあります。旧堺港に隣接していて、南海電鉄堺駅からも近い距離にあります。付近の海岸は大きな港湾と工場群になっており、そのなかに大浜公園があります。南大阪・泉州の中でも最も古い部類の公園です。
明治時代は一大レジャー施設だった
かつては日本屈指の海浜レジャー公園でしたが台風による被災と第二次世界大戦時の戦災によりほぼ機能を失いました。現在はかつての姿の面影を一部残しながら、堺市の都市公園のひとつとして役割を果たしています。
まさに「兵どもが夢のあと」といえなくもないですが、現在まで人々に愛されている公園です。整備されていますが比較的すいているので、静かにのんびりしたい時など、うってつけの公園です。
公園内を散策―花菖蒲園―堺台場(さかいだいば)跡
まずは正面玄関から左側には花菖蒲(はなしょうぶ)園があります。実は大浜公園があるあたりは、江戸時代末期に旧堺台場だった場所です。
台場(だいば)とは海外からの攻撃に備える砲台として江戸時代末期に整備された要塞施設です。その台場と陸地の間の外濠(そとぼり)に当たる部分が現在は花菖蒲園として整備されています。現在も当時の石垣が残っています。
蘇鉄山(そてつやま)
旧台場の外堀の花菖蒲園を行きますと、小さな丘が見えてきます。蘇鉄山(そてつやま)です。明治12年(1879年)の大浜公園開園時からぞんざいする築山です。蘇鉄山の山頂には政府の国土地理院から地図作成の基準点となる一等三角点が設定されています。一等三角点がある山の中では日本一低い山です。標高は6.97メートルです。
ラジオ塔
蘇鉄山の「山麓」にひっそりと建っているのが「ラジオ塔」です。ラジオ塔は第二次大戦前、日本ではラジオ放送が開始されましたが、当時はラジオが高価で一般庶民が買うことができませんでした。そこでラジオ普及のため、全国で公共の場に拡声器がついたラジオを設置して、そこに集まった人が誰でも聞けるようにしたものです。
このラジオ塔は昭和8年(1933年)に設置されたものです。全国で460基が設置されましたが現在も残っているものはほんのわずかでで、そのうちの1つです。このラジオ塔をもとにした複製が中央広場に行かれており、音も出るように復元され、朝のラジオ体操などが放送されているとのことです。
蘇鉄山を下りるとひょうたん池です。水面を眺めながら癒されながら歩いていくと、中央広場あたりに出て、左に大浜体育館・大浜武道館が見えてきます。2021年にオープンしたばかりの新しい施設です。
大浜相撲場
右には何やら丸い建物が見えてきます。大浜相撲場です。大浜相撲場は古くから全国のアマチュア(学生)相撲のメッカとも言うべき施設で、第1回全国学生相撲選手権大会がこの地で大正8年に開催され、現在は大浜公園相撲場と両国国技館で隔年開催されているとのことです。
乙姫橋
中央広場からメインゲートに向けて広い道が続いています。こちらを入口の方へ歩いていくと、橋が頭上にかかっています。乙姫橋といい、歩行者専用の橋です。歩行者専用の道を歩行者専用の道が立体交差で越えるというのは至極不思議です。実はこの橋は元は自動車道路を越す歩行者橋だったのです。
現在は公園の北側を大阪臨海線府道29号線は走っています。1970年代の開通時から1995年に現在の位置に道路が移設されるまでは公園の中を道路が走り、公園を南北に二分していました。その南北の公園を道路をまたいでつないでいた大きな歩道橋が乙姫橋(おとひめばし)でした。
現在は道路が移設されているので歩道橋は必要なくなったわけですが、現在も遺構として残っています。この橋の上や階段から眺める景色はとても良いです。
猿飼育舎(旧猿山)
橋を降りる階段から見えるのが猿飼育舎です。戦前からあった堺水族館が1961年に閉鎖された際、付属していた猿山だけが残りました。2009年に猿山から現在の飼育舎に建て替わりました。無料で入場できる場所で猿を見られる珍しく、貴重な施設です。
猿山の裏(北側)は広場になっており、周りは小高い丘になっていますが、江戸時代に作られた堺台場跡(南砲台場跡)の築堤の一部ではないかと思われます。
旧堺灯台と壁画
中央広場と駐車場出入路の間から公園外へ出て、大阪臨海線の信号を大きな歩道橋で越えていく(頭上は阪神高速道路湾岸線です)と旧堺灯台への遊歩道です。
旧堺灯台は明治10年(1877年)に設置された灯台で、木造建築の灯台で移築されていないものとしては日本最古のものの一つになります。港湾がどんどん拡張され現在は役目を終えています。今は高速道路のそばでひっそりとたたずんでいます。
壁画「浪漫やさかい~時代を越えて通じるロマン~」
この旧堺灯台から対岸に工場の壁面を利用した日本最大規模の壁画「浪漫やさかい~時代を越えて通じるロマン~」を見ることができます。旧堺灯台の横に説明板があります。
大浜公園はおすすめです。トイレ・カフェの情報
大都市すぐそばのロケーションにもかかわらず、さほど混雑せず、のんびりできるとてもいいスポットです。広くて緑と遊び場が豊かなうらやましい公園です。広場には遊具があり、家族連れでにぎわっていました。広いので一人でものんびりできます。
トイレはメインゲート近く、駐車場近くのテニスコート横、中央広場にあります。
中央広場横の大浜体育館の向かい側の建物にはカフェもあります。
なにせ歴史の遺物が随所に残っていて、大変、趣深いのんびりスポットです。
大浜公園へのアクセス
南海本線堺駅西口もしくは南口から西へ徒歩7分ほどです。駅1階西口を出て左手(南へ)歩くとすぐに川(堅川)べりの道に出ます。堅川沿いにそって右の方へ(西へ)あるくと旧堺港への遊歩道の入り口があるので入っていきます。旧堺港へ出ると堅川水門にそって遊歩道があるので渡ります。遊歩道に添って南に歩いていくと大阪臨海線の信号に出ます。そこを渡ると大浜公園です。旧堺港付近は遊歩道がきれいに整備されつつありますが、工事中なので経路が変更になることがあります。(2024年9月30日 徒歩でのアクセスを修正しました)
自動車では公園北側の府道大阪臨海線に面したところに駐車場入り口があります。阪神高速道路の大浜ランプ直下の信号が駐車場の入り口です。阪神高速道路からは湾岸線大浜出口が大浜公園のすぐ横にあり便利ですが、駐車場入り口が出入り口の直下にあるため、駐車場に入るには出口を出てから周辺を迂回してくる必要があります。
参考にしたサイト
参考にさせていただいたサイトです。